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特集・コラム

MARIXの新しいカラーネガフィルム『MARIX aircolor 100』。社長が語る製造秘話と一度使うと”また使いたくなってしまう”3つの特徴とは

2023/11/23

カメラのキタムラポータルサイト『ShaSha』より転載

撮影&文:ShaSha編集部

はじめに

映画用のフィルムを写真用に転用したシネマフィルムで一躍人気となった、株式会社クラウドックから発売されているカラーネガフィルムブランド”MARIX”から、新たに「MARIX aircolor(エアカラー)100」が発売されました。

『MARIX aircolor 100(以降aircolor 100)』はMARIXがこれまで発売していたシネマフィルムとは違い、写真用として開発されたフィルムをベースに作られているフィルムです。

今回はaircolor 100の誕生秘話を製造されている株式会社クラウドックの肥田社長にお聞きしました。記事後半にはaircolor 100の色味の特徴が分かる作例も載せているのでぜひご覧ください。

シネマフィルムの『MARIX』

MARIXシネマフィルムはMARIX 100D・400D・800Tがラインアップされており、いずれも24枚撮りと36枚撮りの2種類が販売されています。(2023年11月現在)

シネマフィルムのMARIXはKodak社の”Vision3”という映画用のフィルムをベースに作られているので、人気なシネマティックな描写が楽しめて、逆光や蛍光灯など明るい部分は赤く滲むのが特徴です。

MARIXシネマフィルム作例

画像を見ると中央の逆光(ハイライト)が赤く滲んでいることが分かります。

新宿 北村写真機店HPでは、映画用フィルムと写真用フィルムの違いなどを詳細に紹介されています。

ぜひこちらもご覧ください

MARIX aircolor 100 の誕生秘話

ではなぜシネマフィルムとは性質が全く違うaircolor 100が作られたのか、製造されている株式会社クラウドックの肥田社長にヒストリーをお聞きしました。

「私自身フィルムで撮影することが大好きなのですが、昨今さまざまな情勢から販売されているフィルムの数が減っていると1フィルムユーザーとして感じていました。そこで世界中のフィルムを探し求めたところ、フィンランドで”サンタカラー 100D”というフィルムに出会いました」

フィンランド サンタカラー 100D

サンタカラー100D 株式会社クラウドックHPから引用

「このサンタカラーというフィルムは2022年にクラウドファンディングで作られたものです。フィンランドの象徴ともいえるサンタの絵が可愛いパッケージをはじめ、パトローネもエコの国フィンランドらしくリサイクルされたもので作られておりEU圏でも高い評価を受けているフィルムです」

「サンタカラーを見た時に日本でも販売したいと考え、サンタカラーを製造している会社へアポを取り、話を聞きに行きました。そこでは中に入っているフィルムがシネマフィルムではなくナチュラルな写りをするAEROCOLORであることや、フィルムを卸している会社について教えていただいた後に、サンタカラーの日本版とも言えるMARIX aircolor 100の製造を始めました」

製造のこだわり

「aircolor 100を製造する際はサンタカラーと異なり日本で現像することを意識しました。大きな違いとしてはフィルムのエンド部分で、サンタカラーはフィルムエンドの部分がテープ止めになっています。しっかり留まっているので外れる心配はないのですが、日本ではフィルムエンドがテープ留めのフィルムは現像の受付をしていないところもあります。そこでaircolor 100は日本の現像所でも現像できるようフィルムエンドの部分をテープ留めではなく差し込みタイプにして製造することにしました」

左がサンタカラー・右がaircolor 100。株式会社クラウドックHPより引用

中に入っているフィルムは?

フィルムとパトローネ

「MARIX aircolor 100の中はサンタカラーと同じくKodak社の”AEROCOLOR(エアロカラー)”というフィルムが使われており、aircolorの名前はAEROCOLORから取っています。このAEROCOLORはもともと地図作成や地形調査などの際に空から撮影する航空写真用として、Kodak社が業務用として生産したフィルムです。aircolor 100のパッケージにも”100 Daylight”と書いてある通り、日中での撮影に最適な色温度5500K(ケルビン)のフィルムです」

MARIX aircolor 100の3つの特徴

Aircolor 100の特徴について新宿 北村写真機店でフィルムを取り扱っているイメージング担当の正村さんに聞いてみました。

今回使用している作例写真は全てカメラのキタムラ店舗で現像したものです。

特徴1:きめ細かい粒状感で解像度の高い作品に

車のハンドル

特徴の1つ目は「感度100のフィルムなので粒状感(ザラザラ)が少なく、高い解像度が魅力です」とのことでした。

上の写真は日中の屋外で外車を展示するイベントにて撮影したものです。粒感は非常に細かく、特にハンドルの光沢感や左上のレザーの質感も良く表現されています。

平等院鳳凰堂

2枚目は京都の名所、平等院鳳凰堂を撮影したものです。瓦や建物の作りはもちろんのこと左上の木々や左手前の土手の草まで鮮明に描写されています。

水面を見ると雨が降っていたことが分かります。悪天候でコントラストや色味が出づらいシーンですが、建物の朱色をしっかりと写してくれました。

特徴2:広いラチチュードで深みのある仕上がり

六角堂手水舎の龍

特徴の2つ目は「広いラチチュードを持っており、写真の明るいハイライトの箇所、暗いシャドー部の表現が曖昧にならずしっかりと表現してくれること」です。

写真は京都の六角堂にある手水舎での1枚です。手前にある水口の龍に注目すると逆光状況下でありがならも黒つぶれしておらず鱗の1枚1枚、龍の目や歯の精悍さが残っています。反対に奥の建物の瓦が明るい箇所ですがこちらも残っています。

車が連続

こちらは先ほどの車を展示するイベントの別カットです。ピントが合っている緑色の車のすぐ上にハイライトとなる白い車が連続しており、明るい箇所同士が混ざってしまいそうに思うシーンですが、良く見ると白い車同士が混合せずしっかり描き分けられています。

反対にシャドー部分として緑色の車のタイヤの部分を注目してみるとタイヤが単一の黒として混合しておらず、側面・グリップの凸凹などディティールが残っています。タイヤの部分を拡大すると「P6000」と書いてあることも分かるほどしっかり描写されています。

水面

屋外での撮影だと自然光で撮るため明暗のコントロールが難しくなります。しかしaircolor 100はハイライト・シャドーの幅が広いので、例えば「明るめの写真を撮ろう!」と思って撮影をしてもただ白い写真になるのではなく、影の部分はしっかりと引き締まるので深みのある写真に仕上がります。

特徴3:ノスタルジックで温かみのある仕上がり

横浜中華街

特徴の3つ目は「ノスタルジックで温かみのある仕上がりが簡単に楽しめること」です。

aircolor 100は若干赤みが入りコントラストもあるフィルムなため、どこか懐かしいノスタルジックな仕上がりが色味の特徴です。

写真は横浜の中華街で撮影したものですが写真に写っている建物と色味がマッチしていて、どこか異国情緒を思わせるような写真に仕上がっています。

青空

いつも通っている場所を撮ってもどこか懐かしい感じに仕上がります。空の色も淡く優しい印象になりました。

クリスマスリース

街にはクリスマスのリースも販売される季節でした。温かみのある色味なのでなんだかクリスマスをテーマにした映画のワンシーンにも見えます。

元町と車
木の実
https://www.kitamuracamera.jp/wp-content/uploads/2024/06/14窓からの景色_20033934607132_jpg.jpg

おわりに

以前と比べると販売されているフィルムのラインアップやフィルムごとの特徴、価格帯が変わったと感じます。しかし1枚を撮るのに構図や露出をじっくりと決めてミスがないか少し緊張しながら撮影し、撮影後はどのような仕上がりかワクワクしながら現像に出す気持ちは今も変わりません。

1本で撮れる枚数が限られているからこそ失敗はなるべく避けたいところですが、aircolor 100は36枚撮りなので少しでも多く撮れるのは嬉しいところです。

タイプライター

感度が100なので建物の中や夕方での撮影は工夫がいるため、そういったシーンでの撮影が事前に分かっている場合はMARIXシネマフィルムでラインアップされている400Dや800Tの方がおすすめです。

しかし、もし日中での撮影であればaircolor 100はピッタリです。冒頭でもお伝えした通り写真用のカラーネガフィルムなのでシネマフィルム独特のハイライト部のハレーションは起きませんので、赤いハレーションのない写真を撮りたい方はaircolor 100を選択するのがベターでしょう。

現像後に仕上がったデータを見るとファインダー越しの景色と印象が違う画も出るので「違うあの場所で撮ったらどうなるんだろう」と、きっとまた使いたくなるフィルムです。

一部カメラのキタムラ店舗で取り扱いがございます

MARIX aircolor100は新宿 北村写真機店のほか、カメラのキタムラ新宿西口店東京/渋谷店でお取り扱いがございます。

MARIXシネマフィルムの作例も公開中

MARIXシネマフィルム

今回ご紹介できなかった100D・400D・800Tの作例を新宿 北村写真機店HPの「特集・記事」にて公開しています。MARIXの他、フィルムの作例を掲載していますので、ぜひご覧ください。

新宿 北村写真機店HP「特集・記事」はこちら

撮影後はカメラのキタムラへ

新宿 北村写真機店やカメラのキタムラ店舗では、今回ご紹介したMARIX aircolor 100をはじめ、35mmカラーネガフィルムの現像受付をしております。もちろん現像だけでなくスマートフォンへの転送も承っており、さらに解像度の高い高画質スキャン※や色味を調整する色調補正サービスもご用意しています。

※ 一部のカラーネガフィルムは現像までお時間を頂戴する場合がございます。

※ 高画質スキャン・スマートフォンへの転送はそれぞれ現像料金と別途料金となります。

※ 一部店舗では現像までお時間を頂戴することもございます。仕上がり時間などはお近くのカメラのキタムラ店舗へお問い合わせください。

現像やスマートフォン転送の料金・詳細はこちら

今回使用したカメラ・レンズ

MARIXシネマフィルム

シネマフィルム”MARIX”の販売中です

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