PhotoLife 新宿 北村写真機店へようこそ。│ Vol.1 新旧ライカに圧倒される、世界でも比類なき場所。
はじめに
2024年6月21日(金)、新宿 北村写真機店6FA館にライカカメラ社公認の “ライカブティック”が、そして地下1Fには新たな写真文化の発信地となる “ベースメントギャラリー” が誕生しました。カメラのある生活に関わるすべてのお客様に寄り添い、フォトライフを提供する店として進化を続けています。
本記事は、2回にわたり新宿 北村写真機店の魅力をご紹介する連載企画のVol.1。
Vol.1は、6Fに新たに誕生したライカブティック、そしてオープン当初からご愛好いただいているヴィンテージサロンをピックアップ。
さて、どんな空間が広がっているのでしょうか。
新旧ライカに圧倒される、世界でも比類なき場所。
6階A館にあるのは、全てライカ関連の製品だ。右手側にはライカカメラ社公認のブティック、そして左手側には中古のライカ、ライカレンズおよびアクセサリーが並ぶ。
6階A館のフロアは、右手側がライカカメラ社公認のブティックとして大幅にリニューアルされた。ライカブティックとは、新品のライカ製品を取り扱う専門の場所として、ドイツのライカカメラ社による厳正な審査をクリアした店舗だけが名乗ることを許されたもの。ライカブティックになったことで、ストア・ブティック限定モデルの販売も可能になった。使用される什器は淡い木目にライカのシンボルカラーである赤を組み合わせたもので、これはライカカメラ社の指定による世界共通の仕様。ディスプレイにはライカM11-PやQ3、SL3からインスタントフィルムカメラのゾフォート2まで、最新モデルが整然と並ぶ。
ライカブティックとシームレスにつながる空間は、コンディションが明記された中古のライカ、ライカレンズおよびアクセサリーが圧倒的な物量で並ぶ。什器は店舗オリジナルだが、開店当初から採用されている木目の什器やガラスのケースを継承。新品と中古で別カテゴリでありながらも、ライカブティックの空間との親和性が高く、これほどの規模の中古ライカ売場が隣接しているライカブティックは他に例を見ない。
その品揃えは、戦前のスクリューマウントレンズから2020年代にリリースされたデジタルのシステムまでおよそ100年の時間軸におよぶことに加え、レアな限定モデルが特別なオーラを放っている。
希少なヴィンテージライカを発見する。
ライカを軸に時空を超えた博物館級の品揃えでヴィンテージカメラとレンズの奥深い世界に誘ってくれるサロン的な空間。それが6階B館、ヴィンテージサロンである。
ライカブティックと中古ライカ売場のあるA館と通路で繋がるB館には、さらにディープな世界を展開するヴィンテージサロンがある。ここで取り扱われているのは主にフィルム機のM型ライカとライカ用の交換レンズだが、A館の中古ライカ売場との違いはヴィンテージの中でも各ジェネレーションの初期モデルや、よりコンディションの良いもの、あるいはレア度の極めて高いアイテム(右ページ参照)などが選りすぐりで陳列されていること。
特にブラックペイントされたフィルム機のM型に関しては、まるでライカの研究書籍を閲覧しているような品揃えだ。また、ヴィンテージカメラの発売年に近しい交換レンズとの組み合わせで魅惑度が増すコーディネートや、持ち歩きたくなるモデルを集結させた小コーナーなど、コンシェルジュによる積極的な提案があるのも特徴のひとつだ。
ヴィンテージサロンの品物はライカに限定されていない。帝国光学のズノーや富士フイルムのフジノンなど20世紀に国内メーカーが生産していたバルナック型ライカと互換性のあるスクリューマウントレンズの名品・珍品や、ライカレンズとは大きく違う描写傾向により写真表現の多様性を愉しむことのできるフランスのアンジェニュー社製レンズのヴィンテージ品など、極めて趣味性の高いライカ以外のアイテムにも大いなる魅力があることに気づかせてくれる売場だ。
M3オリーブ
革シボのパターンが激レアな旧西ドイツ軍用(BUND)モデル
ボディおよびレンズにBundeseigentum(ドイツ連邦政府所有物)の刻印がある。オリーブグリーンのグッタペルカの革シボのパターンが荒いのは初期ロットのみで激レア。ボディとレンズには連番が刻印されている。
スウエーデン軍用Ⅲf
どこまでも黒くペイントされた軍用ライカ界のスーパーセレブ
軍用ライカの中でも有名なモデル。スクリューマウントのエルマーでブラックペイントされているのは、この軍用モデルとセットになったものだけとされていて希少。本機は100台製造されたといわれるうちの2台目である。
M3 ブラックペイント
ブラックペイントのライカを探し求めるマニアの到達点。
ファーストロットに分類されるブラックペイントのライカM3は100台製造されたが、その中で稀に出現する、フィルムカウンターがシルバーではなくブラックのモデル。ストラップ吊り金具もブラックペイント仕上げだ。
まとめ
本インタビューは、店舗リニューアルを記念して発刊された小冊子「Photo Life 新宿 北村写真機店へ、ようこそ。」に収録されています。小冊子は日本語版および英語版を店頭で頒布しています。ぜひ店頭でお手に取ってご覧ください。
Profile
■執筆者:ガンダーラ井上
ライター。1964年 東京・日本橋生まれ。早稲田大学社会科学部卒業後、松下電器(現パナソニック)宣伝事業部に13年間勤める。2002年に独立し、「monoマガジン」「BRUTUS」「Pen」「ENGINE」などの雑誌やwebの世界を泳ぎ回る。初めてのライカは幼馴染の父上が所蔵する膨大なコレクションから譲り受けたライカM4とズマロン35mmF2.8。著作「人生に必要な30の腕時計」(岩波書店)、「ツァイス&フォクトレンダーの作り方」(玄光社)など。企画、主筆を務めた「LEICA M11 Book」(玄光社)も発売中。