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お知らせ

落合陽一写真展「裸性と身体性」

2022/04/17

カメラのキタムラ旗艦店の新宿 北村写真機店では、落合陽一氏の個展「裸性と身体性」を2022年4月16日(土)~2022年5月25日(水)まで開催いたします。入場料無料でご入場いただけます。

裸性と身体性

「服を着ているよりも裸でいる方が大抵の場合は美しく見える.これがヌードを撮り出して最初に気がついたことだった.僕は普段は風景やスナップをライカで切り取っていくことばかりだからポートレートはほとんど撮らない.過去の個展を見返しても,人をメインで撮っていることは滅多にない.そんなわけで,自分が人間を撮影しようと思い立つこと自体が奇跡的なんだけれど,人の形に興味を持って,人の持つ普遍性を探そうと考えるあたり,ウィズコロナで弱った何かか,新たに獲得した何かなんだろう」ヌードを撮り始めてしばらく経ったある日のnoteに落合陽一は上記のように記している.

落合陽一は計算機自然の観察,芸術と技術の反復,研究と制作による実践を続けながら思考の旅路を歩んでいる.その中でデジタルネイチャーにおける公と私の関係性,民藝と霊性,農耕文化と狩猟文化などの観点を培ってきた.2020年から続くポストコロナの世界でも身体や祝祭,共生や相互理解についての思考や環境負荷・移動と文明についても思考を続けている.裸性と身体性,祝祭性とコンヴィヴィアリティ,ポストコロナの社会で定在遊牧民化した我々にとっての変化した価値観はなんだろうか.その中で自分が気になっているのはなんだろうか? そのモチーフは?

この問いを繰り返してきた.そして直感があった.ヌードを撮ることだ.理由はわからないが直感があった.人生の旅路は直感の中で点と点を繋ぐ作業に似ている.今でいうとDJだ.理由はないが直感がある.毎年直感に従って日常の行為を定め,それが言葉へ変化しながらテーマを探る.

昨年の自分にすれば直感はヌードポートレートを撮影し続けることで,点と点を繋ぐ過去のコンセプトは定在遊牧民,そして未来に向けた思考としては農耕文化と狩猟文化の差の中でカーボンニュートラルや持続可能性について考えることだ.直感の理由を探る過程は文脈の復習でもあり自己との対話でもある.

巣篭もりする人類に見られるための服が必要だろうか.これは定在遊牧民なのか,デジタルヤドカリなのかは指し示す問題は近かったとしてもファッションの上では大きな違いを持つ問題である.裸と衣服を着た状態を分けるものは公私,ハレとケ,陰陽などさまざまな対比の中にあると思う.裸の持つ自然は文化によって定義や距離が異なるが纏う状態と脱ぐ状態に区別がない文化はほとんどない.ゆえに自然な状態である裸性には作品化した際になんらかの寓意が宿る.その寓意はポストコロナにおいて変化しただろうか,そして寓意のない純粋な美しさのようなものは身体性をもつメディア表現として表現していくことは可能だろうか.

そういった思考を続けながら,対話的にヌードを撮り続けた.ただその人についてのコンテクストを探しながら光を探し,光を見つけ,シャッターを切り,試行錯誤を繰り返す.光を使って肌を叩き,透かし,反射を描いていく.その日常を続けながら,思考の旅路を続けると世界の姿もまた違って見えるのである.

結果,定在遊牧民から始める計算機自然における狩猟採集の意味を探る中で,農耕以前,縄文・木の文化・超人性,歓喜天・ナムジュンパイク・両面宿儺などの多くのコンセプトを拾い集めることができた.公と私で分け,裸を特別なものとしている社会から違う場所に踏み出してみれば何か違ったことが見えるかもしれない.裸性と身体性の連載はこれからも続けていくと思うけれど,この展覧会はある意味での中間報告のようなものである.今改めて連載と展示に関わった全てのスタッフとモデルさんに感謝したい.

落合陽一 (Yoichi OCHIAI)プロフィール

落合陽一プロフィール画像

photocredit_蜷川実花

メディアアーティスト.1987年生まれ.2010年ごろより作家活動を始める.境界領域における物化や変換,質量への憧憬をモチーフに作品を展開.筑波大学准教授, 京都市立芸術大学客員教授,大阪芸術大学客員教授,デジタルハリウッド大学特任教授,金沢美術工芸大学客員教授.2020年度,2021年度文化庁文化交流使,2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)テーマ事業プロデューサーなどを歴任.写真集「質量への憧憬(amana・2019)」NFT作品「Re-Digitalization of Waves(foundation・2021)」など.2016年PrixArsElectronica栄 誉 賞 ,EUよ りSTARTSPrizeを 受 賞 ,2019SXSWCreativeExperienceARROWAwards受賞,Apollo Magazine 40 UNDER 40 ART andTECH, Asia Digital Art Award優秀賞,文化庁メディア芸術祭アート部門審査委員会推薦作品多数.

主な個展として「Image and Matter(マレーシア・2016)」,「質量への憧憬(東京・2019)」,「情念との反芻(ライカプロフェッショナルストア銀座・2019)」,「未知への追憶(渋谷マルイMODI・2020)」,「物化-Transformation of Material Things-(香港アーツセンター・2021)」,など。常設展として,「計算機と自然、計算機の自然(日本科学未来館・2019)」,その他の展示として、SIGGRAPH Art Gallery, ArsElectronica Festical, Media Ambition Tokyo,AI More Than Human(バービカンセンター、イギリス・2019),おさなごころを、きみに(東京都現代美術館・日本, 2020),北九州未来創造芸術祭 ART for SDGs (北九州市立いのちのたび博物館・日本, 2021),Study:大阪関西国際芸術祭(大阪・日本, 2022)など多数出展.『New JapanIslands 2019・2020』エグゼクティブディレクターや「落合陽一×日本フィルプロジェクト」,「SEKAI NO OWARI at TIMM@ZeppDiverCity東京」などの演出を務め,さまざまな分野とのコラボレーションも手かげる.

開催概要

写真展タイトル 落合陽一写真展「裸性と身体性」
会期 2022年4月16日(土)~2022年5月25日(水)
※期間延長となりました
会場 新宿 北村写真機店6F Space Lucida
開場時間 10:00~21:00(店舗営業時間に準じます)
機材提供・技術協力 株式会社セイビ堂(LED vision)
主催 株式会社エモハウス

※18歳未満の方は本写真展会場へご入場いただけません。
※会場内での写真・動画撮影はご遠慮ください。

広報に関するお問い合わせ

株式会社エモハウス
東京都千代田神田練塀町3富士ソフトビル12階
E-mail:ochyai.manage@emohaus.com